物流コストの削減方法とは?
コストの内訳や増加する原因も解説

更新日 2023.12.22
  • LinkedIn
  • Facebook
  • Twitter
物流には輸送の際の燃料費や配送費、倉庫での入出庫にかかる人件費や商品の保管料など、さまざまなコストがかかります。競争力を高めるためには、コストを可視化したうえで効果的に削減することが重要です。
本記事では、物流コストの内訳やコストの増加要因、コストを削減するための方法などを解説します。
物流コストの削減方法とは?<br>コストの内訳や増加する原因も解説

物流コストとは?

物流コストとは、物流業務において工程全般にかかる費用のことです。 次章で詳しく見るように、トラックの燃料費や輸送費、保管にかかわる倉庫の賃料、包装にかかる費用、社内の人件費や光熱費など有形・無形さまざまなものがあります。 このように多様な費用が「物流コスト」として一括りに扱われてしまうため、何にどのくらいの費用がかかっているのかを把握しにくく、無駄が生じていても見落としやすい傾向にあるため、削減が難しいです。 物流コストを削減するためには、第一歩として物流コストの内訳を知り、可視化することが大切です。

物流コストの内訳

具体的に物流コストの内訳はどのようになっているのでしょうか。主な4つの内訳をご紹介します。

輸送費・運送費

商品・製品を配送する際の輸送手段(トラック、船、航空機など)にかかわるコストであり、物流コストの中で最も代表的なものです。 配送業者に依頼する場合の「配送料」や、自社の車両を使う場合の「燃料代(ガソリン代など)」、車両の「減価償却費」、指定した場所まで直行輸送する「チャーター便のコスト」など、さまざまなものが該当します。 物流コストの中で大きな部分を占めるため、初めにコストを見直したい部分です。

荷役費

倉庫で入出荷する際の工程にかかるコストのことです。 主に入出庫やピッキング、積付け、仕分け、運搬など物流倉庫での作業に従事するスタッフの人件費が荷役費にあたります。そのため、業務量が多く作業時間が長いほどコストが増えていきます。

保管費

製品や商品の保管にかかるコストです。倉庫を借りている場合は賃借料、自社で保有する場合は維持管理費がかかります。 そのほかにも、自社で倉庫を構える場合は、建設費用や設備投資費用、火災保険料や水道光熱費といったランニングコストなど多くの資金を投入する必要があります。 業務の繁閑差による費用対効果も考慮しないといけないため、自社倉庫の保有を考えている方は、必要になる保管費を細部まで確認しておきましょう。

物流管理費

物流の管理にかかわるバックオフィスや営業側の人件費や管理費を指します。物流には繁忙期や閑散期があり必要な人員が増減するため、時期によってかかるコストが変わります。 受発注システムといったシステムの導入費や運用費、保守費用も含まれます。

物流コストの比率

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の2022年度調査報告書資料によると、物流コストのうち半分以上(55.1%)を輸送費が占めています(全業種の場合)。特に製造業では約6割(60.5%)とかなり高い水準であり、非製造業や卸売業・小売業は約4割を占めています。全業種では荷役費・物流管理費などの「その他」が約3割(28.0%)、保管費が2割弱(16.9%)です。 物流コストの比率

※日本ロジスティクスシステム協会(JILS)「2022 年度物流コスト調査報告書【概要版】」を参考に作成

また、売上高に対する物流コストの割合は近年上昇傾向にあり、2019年度の調査では4.91%、2020年度では5.38%、2021年度では5.70%となっています。 出典:日本ロジスティクスシステム協会(JILS)「2022 年度物流コスト調査報告書【概要版】」

物流コストが上がってしまう原因とは?

物流コストが上がる原因としては、主に以下の5つがあります。

人手不足による人件費上昇

少子高齢化に伴う労働人口の減少により、物流を担うドライバーの人手不足が深刻化しています。昨今インターネットを利用した商品の売買が増加している中、長時間労働の割りに賃金は低く、ドライバーの労働環境の悪さからドライバーを敬遠する人も多いため、人材確保のため賃金引上げは必須です。そのため、人件費の上昇は避けられません。 「2024年問題」と言われるように、トラックドライバーの時間外労働の上限規制が適用される2024年以降はさらに人手不足が加速すると見込まれ、人件費もより一層上昇すると考えられます。 物流の2024年問題に関しては以下記事で詳しく解説しています。 物流の2024年問題とは?物流業界への影響と企業が取るべき対策

燃料価格の高騰

資源価格の上昇を背景にガソリンをはじめとする燃料代が上昇しており、輸送コストを高めています。先にご紹介したように、物流コストのうち約半分を輸送費が占めることから、燃料価格の上昇は物流コストの上昇につながりやすく、輸送を効率化するといった対策が必要です。

配送の効率低下

近年、ECの普及などを背景に小口輸送の需要が高まっています。小型の荷物が多いと積載時に車両の空きスペースが増え、積載効率が低下し、配送が非効率になります。そのため、物流コストがさらに上昇しやすい状況です。 また、例えば海上輸送においては、コンテナ不足により20フィートコンテナが入手できず、40フィートコンテナで運ばなければならないといったケースもコスト上昇につながる要素となります。

倉庫作業の非効率さ

配送だけでなく、倉庫作業員の業務が非効率になっていることによりコスト増加につながるケースもあります。入出庫やピッキング、積付け、仕分けといった作業は人数が多くなるほど、また作業時間が長くなるほどコストは上昇していきます。作業のヒューマンエラーを防ごうと、作業人数を増やせば増やすほど、コストの発生につながってしまう恐れがあります。 システム・機械の導入で省人化を進めたり、倉庫業務をアウトソーシングをすることでコスト削減を推進する必要があります。

過剰在庫の保有

在庫を過剰に抱えてしまっている場合、保管費の増加につながります。特に各地に物流センターを持っている、もしくは複数の倉庫に保管している場合、在庫が分散するためトータルで見た際に過剰な在庫数になっている可能性があり、注意が必要です。倉庫が大きくなるほど、保管費の負担も増加しやすいです。 とはいえ、在庫不足に陥ることもないように、需給を正確に把握し、在庫レベルを最適化することが重要です。

物流コストを削減する4つの方法

では、企業の利益に直結する物流コストを削減するにはどうしたらよいのでしょうか。本章では、物流会社が物流コストを削減する方法を4つご紹介します。

社内体制・ルールの見直し

まずは社内の業務体制を見直し、無駄な業務が発生していないかを把握・可視化して、効率化できる業務を洗い出すことが大切です。 また、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5Sを念頭に、物流倉庫での作業員の動きや工程、機器の置き場所などのルールを整備することで、業務効率を高め荷役費の削減が可能となります。

保管費用を抑えるには、効率的な在庫管理により自社の在庫スペースの縮小化が効果的です。 積み方や保管方法のルールを見直し、保管効率の向上を図ることで、コスト削減が可能です。 その他にも、例えば商品の梱包サイズの見直しを行い、ボリュームダウンすることで配送時の積載効率を上げ、配送費用の削減が可能になるとともに、保管スペースの削減にもつなげることができます。

物流拠点の集約化

物流拠点を集約させることができれば、必要な倉庫が少なくなり、その分倉庫の賃料や管理コスト、そこで働く作業員の人件費を抑えることが可能です。また、荷物を1か所でまとめて積載・運送できるため拠点間の輸送導線の無駄を省くことができるなど、配送効率も上昇し、物流コストを削減できます。
拠点数が減ることによるリードタイムの変化も想定し、顧客への影響を最小限に抑えつつ集約化を進めましょう。

物流工程のシステム化・自動化

物流管理システムを導入し、物流工程の自動化や省力化、省人化を図ることも効果的です。 入出庫管理や在庫保管のシステムを導入することにより、人件費等のコストカット、業務の効率化、管理の強化を同時に実現することが可能です。

物流倉庫では、入庫から保管、出庫までの業務プロセスをオートメーション化する自動倉庫や、倉庫での搬送業務を自動化するロボットであるAGV・AMRなどが代表的なソリューションとしてあります。 また、安全で効率的な車両の運行を実現する運行管理システムの導入も有効であり、こうしたソリューションを導入することで人件費や輸送費を削減できます。

物流業務のアウトソーシング

自社での物流業務に多くのコストがかかっている場合、専門の会社にアウトソーシングする方法もあります。外部委託することで、物流コストを委託費として可視化できるため、物流コストを随時見直すことが可能です。
また、余分に発生している倉庫の維持管理費や物流担当者の人件費を削減できる点も大きなメリットです。特に閑散期は無駄にスペースが発生してしまうため、倉庫を手放すことでキャッシュフローを向上できます。

事業内容や経営方針にも拠りますが、分散された自社倉庫を集約化させることで、倉庫間を横持ちさせる輸送料の他、各拠点で分散されて発生していた人件費やマネジメントのコストも削減することが可能です。

物流コストの削減なら、業務委託がおすすめ!

先述した通り、業務委託を行うことで物流コストの可視化・管理がしやすくなり、削減につなげることができます。管理の手軽さという観点からも委託するのがおすすめです。

東神倉庫は医療機器・化粧品物流業務のアウトソーシングサービスを提供しており、物流コストの削減が可能です。熟練スタッフによる丁寧な作業で品質を保証し、利便性の高い立地にある倉庫を提供できるなどさまざまな強みがあります。サービスの詳細は以下からご覧ください。サービスの詳細料金については直接お問合せください。

サービス資料

東神倉庫の「医療機器物流サービス」

ISO13485認証を取得し、高品質な物流体制を実現する東神倉庫の医療機器物流サービスの詳細をご覧いただけます。

資料をダウンロード

サービス資料

東神倉庫の「化粧品物流サービス」

化粧品製造業許可を取得し、高品質な物流体制を実現する東神倉庫の化粧品物流サービスの詳細をご覧いただけます。

資料をダウンロード