危険物倉庫にまつわる規則&法令の基礎知識~危険物を取り扱うには?

更新日 2023.12.27
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身の回りのものでも、数が多くなれば一般的な倉庫ではお預かりすることができない場合があること、皆様はご存じでしょうか。倉庫会社だからと何でも預かることができれば商圏も広がるのでしょうが、火災や人命を守るために様々な規制を受ける危険物および危険物倉庫の基礎知識をご紹介します。
危険物倉庫にまつわる規則&法令の基礎知識~危険物を取り扱うには?

危険物倉庫とは?

危険物倉庫とは、消防法で定められた危険物を保管する倉庫を指します。身体に害を及ぼす有害性のあるものもあるため、法律によりさまざまな基準が設けられています。

危険物に該当するもの

「火災を発生させる危険性の高い物質」が危険物として消防法で指定されています。この消防法とは、消防法第1条に消防法の目的ついて定めていますが、火災の予防・警戒・鎮圧し、国民の生命・身体・財産の保護・被害軽減を目的として定められた法律です。

消防法 | e-Gov法令検索

そして消防法第2条第7項では、危険物を「火災を発生させる危険性の高い物質」と定義し、保管方法や運送方法を厳密に定めています。

危険物には保管物品の種類として第7類物品に分類されており、消防法(昭和23年法律第186号)第2条の危険物及び高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)第2条の高圧ガスを指すこととなりますが、消防法により以下の6種類に分類されます。

険物に該当するもの_第1~6類の違い

 

危険物を取り扱う際の施設の種類

危険物の保管や運搬にあたって欠かせない概念に指定数量(後半に記述)がありますが、消防法で規定された指定数量以上の危険物は、基準を満たした製造所・貯蔵所・取扱所以外の場所での取り扱いは禁止されています。

  • 製造所:危険物を製造する施設
    何らかの作業工程を経て最終製品が危険物となるものを製造する施設

  • 貯蔵所:指定数量以上の危険物を貯蔵しておくことを目的とした施設
    貯蔵所は、屋内、屋外タンク、屋内タンク、地下タンク、簡易タンク、移動タンク、屋外の区分があります。タンクローリーも実は移動タンク貯蔵所として、貯蔵所の一つであり、街中でよく目にするタイプの危険物施設です。

  • 取扱所:指定数量以上の危険物を貯蔵しておくだけでなく、危険物の販売やどこかに移すことを目的とした施設(ガソリンスタンドなど)
    ガソリンスタンドは給油取扱所(特例として航空機、船舶、鉄道等の給油取扱もある)として身近な場所に存在する危険物施設です。対して、危険物を容器入りのまま販売するのが販売取扱所といい、塗料店や稀に大規模なホームセンターが該当するような限られた場所に存在する危険物施設もございます。

    第一種販売取扱所(指定数量の倍数が15以下のもの)
    第二種販売取扱所(指定数量の倍数が15を超え40以下のもの)

法律で定められた危険物倉庫の基準

一定量を超えた危険物を取り扱い、保管する場合は、相応の施設や設備、危険物取扱者という資格が必要となるなど、いくつもの基準を満たす必要があります。ごく一部ですが、その中の「施設」に関する基準を以下にご紹介します。

保有空地

保有空地は、人為的なミスや災害で万一火災が発生した場合でも、周辺の建物に火が燃え移らないよう、また消火活動を行い延焼を防ぐためにも確保しておかなければならない空地のことです。危険物倉庫は、危険物を安全に取り扱い保管することだけを考えるのではなく、火災が発生した後のこと、万一の事態も想定して『保有空地』を設けることが定められています。

保安距離

危険物の保管や取り扱いを行う施設は、他の建物と一定の距離を空けて建設しなければなりません。この距離を『保安距離』と呼びます。他の建物とは、一般住宅(10m以上)や高圧ガス施設(20m以上)の他に、電線(7000V~35000Vで3m以上)や重要文化財(50m以上)があり、定める距離を保つことが定められています。

危険物倉庫でなくとも保管できる場合

危険物倉庫でなくとも保管できる場合_イメージ
危険物の保管量がごくわずかであれば、一般的な営業倉庫(一類倉庫=冷蔵倉庫、危険品倉庫で保管する物品以外を保管)でも保管可能です。前提として、危険物は消防法によって「指定数量」が定められており、保管する量が指定数量を超える場合は基準を満たす倉庫で保管しなければなりません。

  • 指定数量未満の危険物 → 一類倉庫保管可
  • 指定数量以上の危険物 → 危険物倉庫

 

※指定数量未満の危険物の貯蔵及び取扱いなどの基準については、市町村条例で定められています。
※危険物の運搬については、その量の多少を問わず、法令で定める安全確保のための基準に従って行わなければなりません。 但し、指定数量未満の保管(貯蔵・取扱等)については、市町村条例の規制(条例規制)があり、指定数量未満の危険物なら一律して保管が可能というわけではないことに注意してください。市町村条例の規制の中では、(一般的には指定数量の5分の1未満は少量危険物)指定数量●分の1未満であるかにより、規制・手続き有無が異なるものも存在します。

 

危険物倉庫を建設するために必要なこと

危険物を取扱うために、危険物倉庫を建設することも一つの選択肢としてありますが、消防法の基準を満たし、設備や保安体制を持つことの他、そもそも危険物倉庫が建てられる用途地域であるか等、確認すべき点は多岐に亘ります。また、危険物倉庫の新設にあたっては、消防や自治体との事前協議を重ね、市区町村の設置許可申請、工事完了後の検査等、許可を得るためのステップを踏む必要があります。そのため、危険物倉庫を新設し運営するためには幅広く正確な知識を得て、熟知しておくことが重要です。

<危険物倉庫の設計に関わる法令>
・消防法
・都市計画法
・建築基準法
・港湾法
・政令や条例

危険物倉庫を扱うなら知識を得るか、外部委託も選択肢に

危険物倉庫を新設することは手間、コスト、時間をいずれも多く要するために、危険物の取扱いや保管は、危険物倉庫を管轄する会社へ危険物の管理を委託することもおすすめです。危険物は取り扱いを間違えると大事故を引き起こし、中には人命に影響してしまうものです。だからこそ、危険物につき熟知されていない場合は外部委託も選択肢に入れてご検討ください。

以下の記事で物流アウトソーシングのメリット・デメリットをご紹介していますので、こちらもご覧ください。
物流アウトソーシングのメリット・デメリットとは?ご検討される方へ

東神倉庫では倉庫保管のアウトソーシングを行っており、第四類(特殊引火物、第1石油類、アルコール類、第2石油類)が保管可能な危険物倉庫(97平米)を管轄。危険物の保管にかかわるコンプライアンスの高まりに対応し、安全性を担保したサービスをご提供しております。 東神倉庫の医療機器・化粧品物流のサービスは以下資料・ページからご覧ください。

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