ロジスティクスとは?物流との違いや効果的に機能させるポイント、将来性などを解説!

更新日 2024.04.19
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ロジスティクスとは?物流との違いや効果的に機能させるポイント、将来性などを解説!

ロジスティクスとは

ロジスティクス(logistics)とは、物流におけるさまざまな工程・機能を一括して効果的に管理することであり、物流の需要と供給のバランスを適切に調整することが大きな目的です。
ロジスティクスは「兵站学(へいたんがく)」と訳され、これは戦場での物資の補給や部隊の移動、あるいは施設の整備や衛生管理などの計画・立案を意味する軍事用語です。
この兵站学の考え方を物流ビジネスに転用したものが、近年「ロジスティクス」と呼ばれているものです。また、広義には環境や安全への配慮などの社会的課題に対する戦略的な企業経営といった意味でも活用されています。

ロジスティクスと物流の違い

ロジスティクスは物流の同意義として扱われるケースが多いですが、厳密な定義は異なります。
物流とは、原材料の調達から生産、保管、輸送、販売、消費といったサイクルのうち、モノを運ぶ工程自体のことです。一方で、ロジスティクスはモノの流れである物流を一元管理し、停滞などの無駄が発生しないように調整し、適正化することを指します。
いわば、物流はロジスティクスを構成する一要素ということです。

ロジスティクスの重要性・目的

近年は、消費者の趣味・嗜好の多様化からさまざまなニーズが発生しており、この変化に対応するために、市場全体の状況を正確に管理し、計画的かつ柔軟に対応することが求められます。それを実現するためには、ロジスティクスを整備し、原材料を調達するところから、製造や販売、輸送、流通までの一連の流れを見える化することが必要です。ロジスティクスがきちんと整備されていないと、生産コストの増加や、商品の出荷遅延などの問題が発生してしまい、顧客満足度や企業経営に大きく影響することもあり得ます。
また、労働力不足問題や環境問題に対応するうえでも、モノの流れを適正化するロジスティクスの考え方は非常に重要です。

ロジスティクスの基本的な仕組み・業務工程

ロジスティクスでは、以下の各物流工程・要素にて最適化が行われます。

<輸送>
工場から物流センターといった大量の荷物を運ぶ工程のことを指します。
上記の輸送を「一次輸送」と呼ぶことが多く、「二次輸送」は「配送」と呼び、コンビニエンスストアや消費者などに荷物を運ぶ工程のことです。(運送は車、例えばトラックを用いて物を運ぶことに使用します。)ロジスティクスにおいては、中間業者や顧客のニーズに応じて、輸送の所要日数、モノの大きさや重量、特性、さまざまな要素を踏まえ、コストと効率、納期などを考慮してより最適な輸送のあり方を決定します。

<保管>
生産と販売の間で需給調整を目的に一時的に保管しておく工程のことです。
モノを滞りなく中間業者や消費者に届けるために不可欠な工程であり、ロジスティクスによる適正化を行うことで、「注文があったのに在庫がなく届けられない」といった事態を回避できます。これによりスムーズな発送や機会損失の防止につながり、顧客満足度の向上に寄与します。

<荷役>
トラックや鉄道、航空機、船舶などへのモノの積み込みや荷下ろしをする工程です。
積み下ろしや積みつけ、荷下ろし、荷さばき、仕分けを行い、輸送や保管などの作業が行える状態にします。また、倉庫での出入庫やピッキング、格納なども含みます。
荷役を正確かつ効率的に実施することで、物流の生産性向上や品質の担保につながります。

<流通加工>
モノの包装、ラベルやタグの貼り付け、箱や袋への詰め込み等、加工する工程のことです。
商品価値を高める工程ではあるものの、モノを外からの衝撃や汚れから守るために梱包や包装を行うことで、商品の品質を確保できます。顧客等の受け手側の開梱時負担軽減も求められます。
昨今では、環境への配慮から過剰な包装は忌避される傾向にあることから、品質を保ちながら過剰な包装コストを削減する視点も必要です。

<在庫・輸送情報>
近年、IT技術が発展したことで多様な情報を集めて見える化・分析できるようになっており、在庫・輸送に関する情報を顧客が取得できるようになってきました。
このような中、ITを活用したロジスティクスによってよりリアルタイムでの情報収集や提供が可能となり、その情報から最適な輸送ルートを提示するといった物流DXの進展が期待されています。

ロジスティクスの4つのメリット

ロジスティクスを行うことによる物流のビジネス・経営におけるメリットとしては以下の4つがあります。

物流の効率化

適切なロジスティクスを実施することで、無駄のない計画を立案・実行でき、過剰な生産を抑制することが期待できます。そのため、余計な作業負担が減り、物流の効率化が可能です。
また、ロジスティクスの整備を通じて物流業務効率化や自動化が進むため、生産性の向上にもつながります。

コスト削減

物流においては、人的コストや商品の保管コスト、輸送コストなどさまざまなコストがかかっており、これらのコストは燃料費の高騰などを背景に年々増加傾向にあります。このような中でロジスティクスの考えを取り入れることで、積載率の改善や配送ルートの効率化などが進み、無駄なコストの発生を防ぐことにつながります。
保管コストが安いからと利便性や交通アクセスの悪い拠点を選んでしまうと、定着率の高い作業員を集めるのに苦労し生産性も安定せず、臨時での応援や追加で人を雇わざるを得ず、最終的に物流コストが嵩んでしまったケースも珍しくありません。

物流における具体的なコスト削減の方法は以下の記事で詳しく解説しています。
物流コストの削減方法とは?コストの内訳や増加する原因も解説

在庫の適正化

先述のように、消費者ニーズが多様化する昨今では、消費者が欲しいモノを必要なタイミングで輸送・販売することが求められ、無駄なコストの発生を防ぐための適正在庫の実現がより重要視されるようになっています。
最適なロジスティクスを構築することによって在庫の適切な管理を実現できれば、不要な物流コストを払わずに済み、物量波動にも対応する組織を構築することができます。

営業の支援

ロジスティクスが構築されていない場合、本来は顧客とのやり取りがメインの営業担当者が物流の管理や作業手伝いを行っているケースも多く、業務負担となっていることが珍しくありません。ご自身で物流業務をしてしまうと業務に忙殺され、改善することは二の次となってしまいがちです。
適切なロジスティクスを構築することで、在庫管理が効率化され、営業担当者の物流管理に関する負担が減り、本来の業務である営業・販促活動にリソースを割くことができるようになります。

ロジスティクスを効果的に機能させるために必要なこと

ご紹介したようなロジスティクスを効果的に機能させ、メリットを享受するためには、以下の要素を押さえることが重要です。

消費者ニーズの把握

適切なロジスティクスを行うために特に重要なのが、消費者のニーズの把握です。消費者のニーズを把握できる環境が整っていなければ、どの商品の在庫をどのくらい優先的に確保し、どのような輸送を行うかといった計画的な管理は行えません。
ニーズの大きいモノから優先的に確保し、物流に乗せることで収益の拡大を見込めます。

データを活用したシステム・ソリューションの構築

柔軟かつスピーディーな対応、およびリアルタイム性もロジスティクスにおいて重要な要素です。リアルタイム性を実現するためには、モノの流れに関するデータを収集・管理・連携し、現在どのような業務上の問題があるか把握する必要があります。
その課題を解決するためにはシステム・ソリューションの構築が重要になります。

ロジスティクスの将来性・知っておくべきポイント

現在、物流の需要は高まり続けている一方で、物流業界の人手不足やコスト増加の問題が深刻化しており、その解決に向けてロジスティクスを構築する重要性が高まっています。以降では、ロジスティクスの将来性や知っておくべきポイントをご紹介します。

テクノロジーの活用・導入

まず求められるのが、テクノロジーの活用・導入です。物流業界の喫緊の課題である人手不足の解決に向けて、ロジスティクスにおけるロボットや自動運転、IoT、AIといった最新のテクノロジーの活用、導入が期待されています。
このようなテクノロジーを導入することによって、リアルタイムでのデータ収集と高速な情報伝達が可能となり、物流効率化によるコスト削減や生産性向上、顧客満足度の向上につなげられます。

SCM(サプライチェーンマネジメント)との関係性

ロジスティクスの構築と大きな関係を持つ考え方として、SCM(サプライチェーンマネジメント)があります。 サプライチェーンマネジメントとは、原材料の調達から生産、輸送、販売に至るサプライチェーンの情報をトータルに収集・共有して全体を最適化することであり、商品にかかわるさまざまな企業の管理も含まれます。枠組みとしては、ロジスティクスよりも広いと言えるでしょう。
昨今は、このサプライチェーンの脆弱性(リスク管理)が問題となっており、この脆弱性の解決に向けて、ロジスティクスの考え方を活用し、サプライチェーンを構成する企業間でのデータ共有や、情報共有ツールを活用することが求められています。

環境への配慮と持続可能性の取り組み

物流のプロセスでは、トラックや航空機などによる輸送・配送や、大規模な倉庫の運用を伴うため、化石燃料を消費し二酸化炭素を排出するなどどうしても環境に負荷をかけてしまいます。そのため、ロジスティクスにおける環境への配慮や持続可能性への取り組みも重要な要素です。具体的には輸送手段の改善やルートの最適化、環境にやさしいエネルギーの活用などが挙げられます。
また、近年は環境への配慮の一環として、使用済み製品の回収や再利用を進める「リバースロジスティクス」を行う企業も増えてきています。

サービスの顧客最適化

今後、より一層顧客のニーズは多様化し、そのニーズに応じて細かくカスタマイズされた物流サービスが重視されると予想されます。顧客の求めることに素早く対応できる、パーソナライズされたロジスティクスの実践が企業には求められるでしょう。

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